Vol.21 相撲とラグビーからの連想

                                                                                                                 2016.02.10

   今日この原稿を書き終える直前に、大相撲の初場所で大関「琴奨菊」が優勝しました。

日本人力士の優勝は何と「10年ぶりの快挙!」だそうですから、マスコミが囃し立てるのも無理はありません。日本人力士の優勝は大いに喜ばしいことではありますが、ただ冷静に考えてみると現在の大相撲はモンゴルをはじめブルガリア、グルジア等出身の外人力士が人気を支えていることも事実で、日本人力士がなかなか横綱になれないとか優勝できないというのも、それだけ相撲が国際化してきていることの表れかとも思えます。「国技」の相撲でさえも、一時代前のように日本人だけで決着がつくスポーツではなくなっていることは確かで、それだけ「お相撲さん」の世界もグローバルな競争に晒されているということで大変なのでしょう。

 

   個人的な好みで恐縮なのですが、私は相撲やラグビーといったいわば「ガチンコ系」のスポーツが好きで、TV観戦はもちろん国技館へも秩父宮へもホイホイ行ってしまいます(当然見るだけです)。

 

   ラグビーについては皆様ご承知の通り、昨年の英国でのW杯で日本代表チームの大活躍があって、五郎丸フィーバーなど大いに盛り上がりました。とりわけ南アフリカ戦は圧巻でしたね。あの終了間際のトライには感動を通り越して驚嘆・驚愕してしまいました。

   このラグビーの日本代表チームには、何人か日本人ではない(但し日本国内でプレーしている)選手が選ばれていました。ラグビーでは国籍にかかわらずナショナルチームの代表になれるのですが、ただ一度ある国のナショナルチーム代表に選ばれると他国の代表選手には一生なれないという決まりだそうです。その意味で彼ら(外国籍の日本代表選手達)は、日本ラグビーに選手生命をかけたとも言える訳で、日本人としてはなんとも有難い話だと思います。これも相撲とは違った形での国際化、グローバル化ということなのでしょう。他国の選手が日本代表になることを望んでくれる、というのは嬉しく誇らしい話ではないでしょうか。

 

   ところで、ラグビーのスポーツマンシップを表す言葉として、「ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン」という言葉が有名です。「一人は全員のために、全員は一人のために」と訳されることが多いようですが、激しくぶつかり合うスポーツだけに「思いやり」とか「規律」を感じさせる言葉だと思います。

   もう一つ「ノーサイドの精神」というのもあります。「試合終了後はどんなに厳しく戦った相手ともお互いの健闘を称え合う」ということで、スポーツ特有の「潔さ」とか「清々しさ」が感じられます。

 

   よくラグビーのルールは判りにくいと言われるようですが、中にはいかにもラグビーらしくて面白いと思われるルールもあります。一つ例を挙げると「ノット・ロール・アウェイ」という反則規定があります。「役割から離脱しなければいけないのに離脱しない」と反則になるというルールです。

   チョッと細かい話になりますが素人説明をさせていただくと(既にご存知の方には話が冗長になってしまいすいません。またラグビーに興味なしの方にも申し訳ありませんが)、例えばボールを持って走っている選手に相手方の選手がタックルしたという場面をご想像ください。この場合タックルされて倒された選手は持っていたボールを手放して(手放さないとノット・リリース・ザ・ボールという反則になります)起き上がって次のプレーに移ろうとします。一方、タックルした選手は相手が倒れてボールを手放した以上、もうそれ以上相手(倒れた選手)へのタックルを続けていてはいけないのです。つまり倒れた選手から手を離し、相手の次のプレーを邪魔しないようにしなくてはなりません。この場面で、タックルした選手が倒れた相手にタックルし続けていれば「ノット・ロール・アウェイ」という反則になるわけです。

    実際には、故意にこの反則をするというよりは、手放されたボールめがけて敵味方の何人もの選手が殺到して重なるので、その重みで体を動かせないというケースが多いようです。

   このルールは、相手の選手の動きを妨害させないとかプレー全体の流れを停滞させないという狙いから反則として規定されているのでしょう。

    私がこのルールを面白いと思うのは、例えば「タックル」という一つの仕事を終えたら、いつまでもそのプレーにこだわっていないで早く次のプレーに移りなさいと促していることです。

    これを日常の社会生活の場面に引きなおしてみると、組織の中である立場なり役割を全うしたら、いつまでもその立場に恋々とこだわっていないで早く次の役割に移らないと周りが迷惑するよ、という「引き際の潔さ」を求める警句のようにも思えるからです。そういう意味では英国流の(ラグビーは英国発祥)ウィットなりユーモアも感じてしまいます。

 

    長々とルールブックの孫引きのような駄文になってしまい、ここまで我慢して読んでいただけた方には感謝申し上げます。

   最近やっと冬らしい寒さとなってきました。まだ春はちょっと先のようですが、いずれ温かくなってくればスポーツには良い季節です。私もラグビーや相撲のような超ハードなスポーツはとても無理ですが、自然体で気持ちよく体を動かしたいと思っています。

 

 

                                                 以上       宮下